2016年9月4日日曜日

「君の名は。」追記(ネタバレ大有り)

「アンナとアントワーヌ」と「君の名は。」、結末がけっこう同じタイプなのに気づいた。
どちらも2人の男女が再会し、新しい愛の物語が始まるかもしれないという予感で終わる。
「アンナとアントワーヌ」は「男と女」をリアルタイムで見たような高齢者が多く、私なんか若い方かも、と思ったくらいだった。一方、「君の名は。」は中高生でいっぱい。世代が違うので表現もまったく異なるけど、こういう結末はやはり王道なのだなあと思う。
ところで、一晩たってみると(この文章は4日午後1時に書いています)、「君の名は。」も「シン・ゴジラ」同様、いろいろ考えるところのある映画、語りたくなる映画なのだなあ、だから大ヒットなのだ、と思った。
「君の名は。」はやっぱりヒロインの三葉が父親の町長を説得するシーンがないのが「画竜点睛を欠く」で、ここがないのが最大の欠点なのだが、クライマックスは三葉の思い通りみんなが避難してくれて、町長の邪魔もなく、事後処理とマスコミ対応は町長がうまくやってくれた、というふうにしてもよかったはずだ。でも、町長の妨害を入れた方がある意味リアルだし、劇的に盛り上がるのは確かだけど、入れた以上、きちんと処理してくれないと困る。
町長と土建屋が癒着している、というセリフが前半に出てくるけれど、これもその後何も出てこないので入れなくてもよかったと思うのだが、前半は田舎に住む三葉の閉塞感と東京へのあこがれが描かれているので、その補強としていかにも田舎の悪いところを入れたのだろうと思う。
そうしてみると、この映画はジュヴナイル・ファンタジーであるけれど、大人社会のリアリティも入れようとしているのがわかる。
実は私は最初、この映画をあまり見たいとは思わなかった。予告編を何度も見たが(「ルドルフとイッパイアッテナ」を何度も見に行ったので)、予告だけだと「転校生」の二番煎じにしか見えなかった。だが、その後、後半のネタバレを知って興味を持ち、見ることにしたのだ。
それでも、たった3年前に町が彗星の隕石で消滅したのを主人公の瀧がまったく知らない、思い出さないのは変ではないかと思った。実際に見てみると、瀧たちがその大惨事を思い出すのは現地を訪れたときが初めてなのだ。
あれほどの大惨事なのに、3年たつと誰も覚えていない。
しかし、よく考えてみると、これは案外リアルなのだ。
熊本の地震、もう忘れてませんか?あれは今年のことなのに。
飛騨の山奥の町が1つ消滅しても、その近くの人以外は3年後には忘れている、というのはリアルなのだ。
そうしたリアルへのこだわりが、もっとうまくできたのに、ジュヴナイルの枠を超えたのに、と思わせてしまうのだ。
三葉の家は神社を守る女系家族で、三葉の父は婿養子として家に入ったが、最愛の妻に先立たれたのがきっかけで家を出てしまい、町長になる。祖母は一葉、母は二葉、そして妹は四葉という名前で、母だけがほとんど出てこない。町長が三葉に説得されるにはこの母の思い出を出すべきだったのではないか。
そんなわけで、もったいないな、物足りないな、画竜点睛を欠くな、と思ってしまうのである。
私は手塚治虫世代なのだけど、あの頃から少年漫画、少年アニメは少女も見るものだった。「君の名は。」は中高生女子が対象かと思ったら、意外に少年が多いので驚いたけれど、これは確かに少女も見る少年アニメなのだと気づいた。

昨日はTOHOシネマズだったのだけど、グッズ売り場が広かった。「ルドルフとイッパイアッテナ」を見たシネコンは松竹系で、グッズ売り場が狭い。特に「ルドルフ」はグッズほとんど売り切れ。
で、さっき、グッズのサイト見たら、こんなにあるのですね。
http://www.ntv.co.jp/shopping/rudolf-ippaiattena/
ほとんど見たことないや。
昨日のシネコンにも「ルドルフ」のグッズはほとんどなかったけれど、ポストカードブックがあったので、買いました。14枚入り650円(税込)。